餅田餅男の最期/2020

 

 これは餅に6つの代表的な刑罰(百敲きの刑、釜茹での刑、引き廻しの刑、串刺しの刑、火炙りの刑、生き埋めの刑)を与える様子を記録した映像作品です。映像自体は一見するとわたしが家の中で料理をしたり食事をしたりといったごくありふれた日常の光景です。餅と刑罰という相容れない2つのものを組み合わせることで、「対象」と「行為」とが乖離し、それぞれが個別のものとして抽出されます。それによって、今まで餅に対して意識せず行っていた行為(搗く、焼く、茹でる等)そのものの孕む危険性や残虐さが浮き彫りになります。また、徐々に刑罰には直接関係のない場面にも違和感を覚えるようになり、「日常の光景」は静かに崩壊していきます。一方、拷問刑罰として行った恐ろしいはずの行為は餅をより美味しくします。このように餅の周囲に生じる歪みは、複雑で多層的なこの世界を象徴しているように思います。

 

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18分49秒

 

2021年 第24回岡本太郎現代芸術賞 入選

第24回岡本太郎現代芸術賞展に出品します。

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